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マイコの漫画のブログ

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念風鬼5

そこは大きな邸だった。
葛葉が住んでいる一条戻り橋の邸より遥かに大きい造りの邸で、身分の高さがうかがえる。
今上帝の弟の宮様の邸である。
宮の娘の姫が鬼に憑かれて、今世間を騒がしている鬼の根源だという。
邸の様子は一見かわったようには見えないが、葛葉の目には禍々しい気配が移っていた。
どす黒い赤が邸の周りをぐるぐると包むように渦巻いている。
その邸を葛葉の目には無気味にみせていた。
「なんか…とんでもなく凄いことになってると思うんだけど…」
葛葉はぶるっと肩を震わせる。
父、安倍晴明に付きいろいろ邸を回ったことがあり、このように無気味な気配は慣れていたが、このように強い渦は初めてである。
(安倍晴明の娘である私がこんなことでびびってどうするのよ!気をしっかり持たないと!)
顔をふりつつ自分を戒め気をひきしめる。
頼光の手が葛葉の手を握りしめてきた。
そして、自分の胸のところに重ね合わせたてを持っていき真剣な顔で葛葉を見つめる。
業とそういうふうな形に頼光は持ってきたのである。
「なーに…?この手は…」
葛葉は不機嫌な声でいった。頼光の意図が見えたからだ。
案の定頼光は
「葛葉こ…こわいのか?」
「なにが?」
葛葉は手を上下に思いっきりブンブンと手をほどこうと振払おうとしてたが、頼光は離そうとしない。
「鬼が恐いのであろう?俺が手を握ってやるから安心しろ」
いかにも男らしい台詞を言う。
だが、声は震えていた。手も冷たい。
葛葉はニヤっと意地悪く笑う。
「そーいえば頼光も少しは見えるんだったよねー鬼とか幽霊とか」
「う!」
「あんたの方がこわがってるんじゃないの?」
「そんなことは…な…ないぞ!」
「どーかしら?それにしても手がつめたいんだけど?」
その言葉に頼光はパッと手をはなした。
男の自分の方が怖がって、好きな葛葉にこれ以上に怖がっているのを知られるのが恥ずかしくなったからだ。



ギギギギっと門がいきなり開いた。
それはとてもこの邸の雰囲気にあった無気味な音だった。
頼光はさっと驚きの余り葛葉の後に隠れた。
「あんたね…私を守ってくれるんじゃなかったの!?」
葛葉の声も上ずっていた。
門から出てきたのは一人の老女房と門衛だった。
その老女房の皺くちゃの顔と白髪をみて頼光は叫んだ。
「おにばばぁだぁーーーうっ!」
葛葉は頼光の腹に拳を入れて黙らせた。
「失礼なこというじゃないわよ!あー見えてもにんげんよ!」
「失礼な童どもめ……」
と老女房は怒りを静かにあらわしていた。
門衛たちは苦笑した。
門衛の一人が葛葉が乗ってきた牛車の家紋を見て安倍家のものだと分かり、牛車を中に通してくれた。
老女房は葛葉たちを見て少し驚いた感じだった。
安倍晴明自身ではなく子供2人だけだったからだ。
「あ、あの!父安倍晴明の代理で参りました葛葉と申します。
そしてこっちは」
「清和源氏、源満仲の息子、源頼光ともうします。」
頼光は片膝をついてなれたようにお辞儀をいた。
「晴明殿からはお話を伺っておりまする。どうぞ中にお入りくださいませ」
老女房は、ふーっとため息を吐いた。本当にこんな子供を寄越すとはという感じだった。

つづき




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